正しい馬券のハズし方

馬券をハズし続けて幾星霜。この歳になって他人に誇れるもの馬券のハズし方のみ。ならば、そいつを全て晒してやるぅ!待ってろ、週末ぅ‼︎

いよいよ、春。スプリング・ハズ・カムw

  桜花賞です。春が来たぁ、って気になりますね。仁川の桜の下で明け三歳牝馬がスタートをきる姿は、いちばん春を感じる光景。財布の中が極寒期でもイチャつく相手が居なくても、心華やぐ季節ですなぁ。

  今はフェブラリーSだの高松宮記念、今年からは大阪杯というGIがあるのでそれほどでもないが、以前はその年最初のGIということで、やたらとハイペースになることが多かった。『桜花賞ペース』と呼ばれ、惑わされて沈む馬、利して勝つ馬と様々。

  忘れられないのが、平成8年、第56回の桜花賞だ。

  当時私は週末を場外馬券売り場に出勤する野郎だった。無遅刻無欠席で朝の9時から夕方5時まで場外に居たので、それなりに知り合いができていた。名前もロクに知らない、仕事も歳も地位も全く違う男同士が、競馬新聞と赤ペンを手に語ったり熱くなったり手に汗握ったりしていた。そこには、一切の上下も差別も無く、ただ「当てた奴が正しい」というシンプルな平等社会だった。

  そんな知り合いの一人に源さん(ウロ覚え)という初老ぐらいの人がいた。で、この平成8年の桜花賞前日に、源さんと親子ほども歳の違う私は意見が違ったのである。

  源さん曰く「ファイトガリバーのような格下条件馬が来る程、桜花賞は甘くない」

  私、曰く「イブキパーシヴなどどいう休み明けの馬がいきなり来る程、桜花賞は甘くない」

  お互い負けが込んでたこととアルコールのせいもあり、段々険悪な雰囲気になり、掴み合いの喧嘩になりそうになった。

  そこに仲裁に入ってくれたのが、同じ場外仲間で重役と呼ばれてたオッサン。歳は六十代だったろうか、場外には珍しく三揃いのスーツに品のいいネクタイ、決してへたり込んだり動揺することはなく落ち着いていて、それでいて親しみやすいという理想の上司的な人だった。

  重役「何をもめとるんや?」と間に入ってくれ言い争いの原因を聞いて、 「わかった。わしが(4)ファイトガリバーと(13)イブキパーシヴを買うさかいに、治めてくれや」と言って見せたのが馬連4ー13に十万円の馬券。源さんも私も片方は絶対に来ないと信じていたし、重役サンの人柄とその金額にお互い矛を収めたのだった。

  結果はご存知の通り、馬連4ー13的中で14230円ついた。つまり、重役サンは私と源さんのケンカで1400万円儲けたのである。

  自分がハズしたのも口惜しいが、自分が言ったことを基に他人が当てたのはツラすぎる。あんなに悔しい思いは人生経験したことがない。